通貨の歴史
Tezos Japan, DaiLambda, Inc.
Jun FURUSE/古瀬 淳
Nagoya university, 2023-04-14
通貨のテーマ
「どうやって円滑に取引を行うか」
通貨以前: 物々交換
P2P 取引
👨 🌾 ⇄ 🐟 👩
複雑な物々交換
👨 🌾 ← 🐟 👩
↘︎ ↗︎
🍎
👴
マッチメーキングできるが、どんどん複雑になる
通貨の誕生
👨 🌾 ⇄ 🐚 ⇄ 🐟 👩
⇅
🍎
👴
「綺麗な貝」を介在して取引する
貝貨
キイロタカラガイ (中国、1100 BC)
- それ自体に価値(美)がある
- 学名: Monetaria moneta
通貨の条件
価値の尺度 (大小を比較)
交換手段 (支払いしやすい)
価値貯蔵手段 (蓄える 腐らない)
石貨 (ヤップ島、〜 1930 AD)
おそらく通貨とは言えない…
価値の尺度 (⭕️大小を比較)
交換手段 (❌支払いしやすい)
価値貯蔵手段 (🔺蓄える ⭕️腐らない)
貝貨の問題
キイロタカラガイは権力者には都合が悪い:
- 南洋でしか取れない
- 育つのを待たなければいけない
コイン鋳造
刀貨, 布貨 (中国, 800 BC)
価値保証: 媒体に希少金属としての価値
発行可能: 権力者がサプライコントロール可
- 通貨発行益: 額面 > 媒体価値
- 通貨発行者 vs 偽造者
兌換紙幣
紙切れなので運びやすい
価値保証: 権力による貴金属(金、銀、銅)への交換保証
- サプライは政府の貴金属準備量に限られる
⇄
通貨の物理媒体自体にもはや価値はない
額面 >>> 媒体価値 →
より高度な偽造対策が必要
世界初の兌換紙幣
交子 (中国, 1050 AD)
- 鉄銭の手形として民間で誕生
- 宋政府が銅銭との兌換を保証
不換紙幣 (Fiat Money)
兌換保証がない!「法定通貨」
1971年から、Bretton Woods 体制後の我々の世界
- 兌換保証が無くなったが、お金はお金として残った
- 混乱から為替は変動相場制へ
- 政府が貴金属準備に関係なくマネーサプライをコントロールできるようになった
兌換紙幣では世界を回せない
潤沢な資金供給により流通性が高まり経済が発展した
地球に存在する金: 244,000 t * 現在の金の価値で 15.5 trillion USD
世界全体の富: 463.6 trillion USD
世界初の不換紙幣
交子, 中国, 1050 AD
- 世界初の兌換紙幣であったが…
- 通貨発行益目当てで大量発行され、
不換紙幣となる 😅 - 信用を失い徐々に使われなくなった
クレジット(信用払い)
通貨ではないが、貸し借りを数字で管理することで
通貨による取引回数を減らし、通商を簡便化する
電子マネー
物理媒体さえない、コンピュータ上のただの数字。
- 通常、法廷通貨にペッグ
- 中央管理者、発行体が法廷通貨への兌換を保証
- 偽造、不正利用対策として暗号技術が使われる
通貨の価値の源泉の根拠
どんどん消えてきている:
- 物理媒体自体の価値: ない
- 兌換保証: ない
- 法廷通貨証書としての物理実体: ない
通貨を通貨たらしめるものは何か?
租税貨幣論(Chartalism)
- 税金
- 暴力装置を備え、税金の支払いを強制してくる政府
より過激な理論: 共同幻想
「これは通貨だ」、という共通認識があれば、
中央集権的権威づけさえ必要ないのでは?
- Iraqi Swiss dinar (1993-2003)
- Somali shillings (1990’s)
- Bottle caps (2270’s, Fallout universe😝)
暗号通貨の勃興
Since 2009-01-03 (Bitcoin)
- 電子的: 媒体に価値、形がない
- 非中央集権: 中央管理者がいない
- 偽造、不正防止のための暗号技術
トラッキングとプライバシー
電子化は追跡を非常に簡単にする。
- 権力はトラッキングが大好き
- 民衆はトラッキングされたくない
匿名性も通貨の重要な要件。
通貨の歴史
- 目的: 取引を円滑に: 物々交換、コイン、紙幣、電子マネー
- 価値の根拠の希薄化
- 物理媒体の価値
- 兌換による保証
- 法による保証
- 納税の強制
- 共同幻想
- 中央管理者のいない分散化された電子マネー、仮想通貨の登場