Tezosのウォレットトラブル対処とウォレット移行

免責

この文書の内容の正確性について、筆者は一切の責任を負いません。読者の自己責任で利用してください。

最終更新日: 2021-09-28

更新日があまりに古い場合、この文章に書かれていることは古すぎて現状からかけ離れている可能性があります。

ウォレットトラブル!!

Tezos のウォレットが動かなくなった、ウォレットでアカウントにアクセスできない、ICOトークンにアクセスできない、といった場合の対処法を書きます。

まず落ち着いて

あなたの残高はウォレットそのものではなく、 Tezos ブロックチェーンに記録されています。Tezos のブロックエクスプローラにあなたのアドレス tz1... を入力すれば残高を確認できます。間違っても秘密鍵を入力しないように!!

エクスプローラで残高0と表示されたり、そんなアカウントは無いと表示された? ICO参加した方で、アクティベーションが済んでいない場合はそうなります。アクティベーションを行ってください。

お急ぎでなければ、待ってください。ウォレットの不具合自体で残高が失われることはありません。大抵のウォレットの問題はウォレット業者のサーバ側の不具合が原因なので、それが修正されれば元に戻るはずです。

急いでいる場合は、別のウォレットに移行すれば、アカウントへのアクセスを行うことができるでしょう。

TezBox はもう動かない

ICO に参加した人たちの多くが使ったであろう TezBox (https://tezbox.com) はサービスを終了しました。他のウォレットに移行してください。

詐欺に注意

「ウォレットが操作できなくなった」「ICOしたのですが」「TezBoxが使えなくなった」などとTwitterやTelegramなどのSNSで発言すると、

  • 「助言するのでメールやプライベートチャットなどで連絡してほしい」、などのメッセージが英語や日本語で送られてくることがあります。
  • SNSによっては「親切な人」「公式っぽい名前を持つ団体」から「修正方法」が送られてくる場合もあります。

これはまず間違いなくフィッシング詐欺です。相手にしないでください:

  • 「tezos ico」、「ウォレット」、ウォレット名などのキーワードでSNSを監視、困っていそうな人に話しかける
  • 信頼できる者であるように装って、直接秘密鍵情報を聞き出そうとする
  • Tezosウォレットを騙る偽ウォレットサイトに誘導し、そこに秘密鍵情報を入力させる。(偽ウォレットサイトは本物のウォレットと外見がそっくりです)
  • ICOした場合はICO PDF (“Tezos Wallet Your wallet number is xxxxx” と書いてあるPDF)を見せるように言ってくる
  • 偽ウォレットアプリをダウンロードさせ、そこに秘密鍵情報を入力させる。

他にも、筆者の知らない詐取方法があるかもしれません。秘密鍵をだまし取られてしまうと、あなたの残高は詐欺師のアカウントに転送されてしまいます。こうなってしまうと誰もあなたを助けてあげることはできません。

プライベートの場に誘導しようとする人はまず詐欺師だと考えてよいです。Tezos財団はトークン保持者の秘密鍵を尋ねることは絶対にありませんし、ウォレットなどの個々の問題に向こうからサポートを提供してくることもありません。また、ウォレット問題の修正法は秘密でもなんでもなく、むしろ広く公開されるべきものですから、プライベートメッセージで送る必要もありません。

とにかく、盲信しないことです。今まさにあなたが読んでおられるこの文章も詐欺師が書いたものかもしれないのです。

詐欺師のアカウント名や偽ウォレットサイトのURLは詐欺師側で変更が可能です。この文書に詐欺アカウント名やURLをリストしてしまうと、それ以外は安全だろうという誤解を招きかねませんので、あえてリストしません。

詐欺に遭ってしまった場合

申し訳ありませんが、残念ながら一度盗まれたトークンを取り返すことは誰にもできません。

Tezos財団(contract@tezos.com)に連絡をしてもいいですが、彼らにもできることはほとんどありません。警察に被害届を出してください。

ウォレットの移行

秘密鍵情報を盗まれない限り残高は大丈夫です。ゆっくり落ち着いてやってください。焦って他人の情報を鵜呑みにするのが一番危険です。逆に、フィッシィング詐欺師は「できたか?入力したか?」と焦らせ情報確認の時間を与えようとしません。

繰り返しますが、あなたの残高は問題のあるウォレットに入っているわけではなく、Tezosブロックチェーンに記録されています。現在のウォレットでアカウントを作った時と同じ秘密鍵関連情報を使って移行先ウォレットでアカウントを作れば、移行先ウォレットから同じアカウントにアクセスできます:

  1. 移行先ウォレットを選択する。
  2. 現在のウォレットで使用した秘密鍵情報を用意する。
  3. 秘密鍵情報を使って移行先ウォレットでアカウントを復元する。

移行先ウォレットを選択する

Tezos財団が推奨しているウォレットは https://tezos.foundation/tezos-foundation-faq/ の General - Which wallets are maintained and work smoothly? にリストされています。(具体的なウォレットとそのURLはここにはリストしません。リストが更新されたり、URLが変更になったりすると誤情報になるからです。必ず上記の一次ソースを確認してください。)

日本語話者の間では Kukai や Galleon が多いようですが、筆者は特定のウォレットを推奨する立場にありません。

ICOに参加し、ICOアカウントにアクセスしたい場合

ICOに参加していない人は関係ありません。

ICOに資金提供し、そのアカウントにアクセスしたい人は、まず KYC/AML とアクティベーションを行わなければいけません。

  • KYC/AML: https://verification.tezos.com/ で個人情報を入力し、アクティベーションコードの入手してください。
  • アクティベーション: アクティベーションコードを手に入れたら、 https://activate.tezos.com/ でアカウントを有効化します。

アクティベーションが終了すれば、Tezos のブロックエクスプローラにあなたのアドレス tz1... を入力すると残高を確認できるはずです。

アクティベーションが終了している人は、次のICO情報を用意してください:

  • ICO PDF: 頭に “Tezos Wallet Your wallet number is xxxx” とある PDFにある情報

    • Seed words
    • Email アドレス
    • tz1.. から始まる public key hash。

    これらの情報が失われている場合、どうしようもありません。

  • ICO パスワード: あなたしか知りません。覚えているか、どこかにメモしてあるはずです。

これらの情報をウォレットの “Fundraiser” アカウント作成の所に入力してください。正しく入力できればアカウントへのアクセスができるはずです。

ICO パスワードを忘れてしまった

まずメールアドレスやパスワードの打ち間違いがないかよくよく確認してください。打ち間違いはよくあるそうです。

ICO PDF に書かれている Seed words は ICO パスワードによって暗号化されています。別パスワードの再発行などは原理的にできません。 ICO パスワードは設定したあなたしか知りません。Tezos 財団はあなたの ICO パスワードを持っていません。

ICO パスワードを忘れてしまった場合は https://tezos.foundation/tezos-foundation-releases-fundraiser-password-support-tool/ を使うことができます。原理的には総当たり方式でパスワードを推測するもので、膨大な組み合わせを試して運良くパスワードに行き当たればいいのですが、その確率は低く、基本的には気休めだと理解しておいたほうがよいです。パスワードの大部分がこうだったと確実に覚えている場合は、その文字列をヒントとして提供すれば、試行組み合わせ数を小さくすることができます。このツールの使い方については support@tezos.com に問い合わせをしてください。

一般のアカウントを使用している場合

現在のウォレットで使っている次の情報を用意してください:

  • Seed words (seed phrase や mnemonic とも言われる)の15単語、
  • もし seed words にパスワードを指定している場合はそのパスワード

以上の情報を情報を新しいウォレットの “Import wallet / seed words” といった場所に入力してください。正しく入力できればアカウントへのアクセスができるはずです。

Ledger Nano S/Xを使用している場合

使用しているLedgerが必要です。無い場合は新しいLedgerを購入して同じパスフレーズで再設定してください。Ledgerを初期化するパスフレーズを忘れてしまっている場合は、どうしようもありません。

Ledger Nano S/Xを使っている場合はLedgerをサポートしている別のウォレットに移行したのち、Ledgerを使ってアクセスする選択肢を選び、そこで新しいアカウントを作成すれば、以前と同じアカウントが出てくるはずです。Ledger Liveを使うのが一番簡単でしょう。Galleon+Ledger を使っていた場合だけは特殊で、derivation path が Tezos 標準のものではなく、 44'/1729'/0'/0'/0' になっています。Kukai などの derivation path が変更可能なウォレットで derivation path をこの値に変更する必要があります。

トラブル: Seed words を入力したら別のアカウントが出てきた

Seed words を正しく入力して、あなたのものではない残高 0tz の別のtz1...アカウントが出てきてしまった場合は二つの場合が考えられます:

Seed words がパスワードで暗号化されている
Seed words を暗号化した場合、暗号化に使ったパスワードが必要です。このパスワードが間違っていた場合は、別のアカウントに復号化されてしまいます。このパスワードはウォレット自体のパスワードとは別のものです。(あなたがこれらのパスワードに同じ文字列を使ってしまった可能性はあります。同じパスワードを試してみるといいかもしれません。)
Seed words はパスワードで暗号化されてないのに、関係ないパスワードを打ち込んでしまった
逆に seed words を暗号化していないのに、何かパスワードを打ち込んでしまっても別のアカウントに復号化されてしまいます。このパスワードにウォレットのパスワードや ICO パスワードを使ってはいけません。Seed words にパスワードをかけていない場合は空欄にしてください。

日本語コミュニティで質問する

非公式のTezos日本語コミュニティである Telegram グループ @tezos_japan https://t.me/tezos_japan があります。ここで質問してもよいでしょう。

ただし、

  • 詐欺師が投稿を監視しており、ウォレットトラブルで困っている人にメッセージを送ってきます。
  • また、このグループと同じアイコンを使った偽のグループも存在します。

ダイレクトメッセージによる助言は、たとえ「Tezos Support」とか、ウォレットのサポートを名乗っていても無視してください。パブリックチャットで誰かから反応があった場合も、鵜呑みにして即実行せず、他の情報で確認するか、他の人の意見を二、三日待つことを強くお勧めします。コミュニティで得られるほとんどの助言は善意からのものですが、この文章と同じく、正確かどうかの責任は誰も取ってくれません。誰もお金をもらってあなたのサポートをしている訳ではないこと、事故が起こっても自己責任だという点は理解しましょう。

よくわからないので、代わりやってくれませんか?

ウォレット移行のために秘密鍵につながる情報をモロに扱いますので、事故が起こった場合の手伝った人のリスクが大きすぎます。ご自分でやるべきことです。頑張ってください!